妊活中、妊娠中、授乳期になる女性に必須の栄養素「葉酸」を紹介します。
その効果も世界中で認められていて、我が国においても厚生労働省が妊娠可能な年齢の女性等における葉酸摂取の重要性について発表がありました。
子作りを考えている方は葉酸をしっかり学んで、妊活にお役立てください。
Contents
葉酸とは
葉酸とはビタミンBに分類される水溶性ビタミンです。
1941年に乳酸菌の増殖因子としてほうれん草の葉から発見されました。名前の由来はほうれん草の葉はラテン語で 葉（folium)と呼ばれることから葉酸 (folic acid) と名付けられました。
葉酸はアミン酸核酸塩基の生成に必要で核酸、DNA、RNAを作るのに重要な栄養素です。アミノ酸の代謝や細胞増殖には欠かせません。
また赤血球の合成にも関与しており、造血ビタミンとも呼ばれています。そのため葉酸が欠如すると細胞の生成や血液の生成に支障をきたすことになります。
とくに妊婦においては不足しがちな栄養素で不足すると貧血、胎児の神経系の先天性障害の原因、発育に悪影響を与えることもあります。
一日の摂取量は240μgですが、妊娠期の女性は400μgが推奨されています。
妊婦に必要な理由
葉酸は核酸、DNA、RNAを作りますので、胎児の細胞分裂に欠かせない栄養素です。
脂質・たんぱく質やミネラルなどの体を作る材料があっても細胞分裂がスムーズにいかなければ成長に支障をきたすことになります。
またアミノ酸の代謝を媒介しますので、たんぱく質を合成し、赤ちゃんの体を作るために不可欠です。
とくに葉酸の摂取不足と胎児の神経管欠陥障害の関係について注目を集めています。
また胎児の成長だけでなく、妊娠中毒症や悪性貧血、マタニティーブルーなど妊婦の健康を支える作用もあります。
葉酸が不足すると神経管閉鎖障害のリスクが高まる
神経管閉鎖障害とは脳やせき髄を作る神経管の端がふさがってしまい、正常に成長できなくなる病気です。
神経管下部がふさがるタイプを「二分脊椎症」、神経管上部がふさがるタイプを「無脳症」と呼びます。
二分脊椎症
本来ならば脊椎の管の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出て癒着や損傷しているために起こるさまざまな神経障害の状態を言います。
その発生部位から下の運動機能と知覚が麻痺し、内臓の機能にも大きく影響を及ぼします。
つまり神経系が下に伸びていかないので、下半身に障害がでます。具体的には下半身の運動障害や膀胱、直腸機能障害が生じます。
無脳症
胎児の神経管から脳や脊髄が形成されるのが障害されることで、脳の一部、あるいは大部分が欠如する。大脳のほか、生命の維持に重要な役割を担う脳幹の発達も障害され欠如する例が多い。
そのため発症した胎児の75％は死産となり、出産した場合も生後一週間以上生存することは難しいが、まれに1年以上生存しているケースも存在する
神経系上部がふさがるので、それより上に障害が出ます。具体的には脳が正常に作られなくなり、脳が形成不全となり､流産や死産の割合が高くなります。
葉酸と神経管閉鎖障害
欧米諸国では神経管閉鎖障害の発症率が日本よりも高かったため、神経管閉鎖障害に対する研究が進んでいます。
その中で葉酸不足と神経管閉鎖障害の関連性に関する研究が数多く発表されています。
過去において欧米諸国では神経管閉鎖障害の発症率が高率であったこともあり、発症リスク低減に対する葉酸の効果について、大規模な疫学研究が数多く行なわれました。それらの研究は受胎前後における充分な葉酸の摂取により、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが大幅に減少することを示しました。
そこで世界各国で妊娠を希望する女性に対してサプリメントなどの栄養補助食品からの葉酸摂取に関する勧告が出され、また葉酸を添加した食品も普及しました。その結果、欧米諸国での神経管閉鎖障害の発症率は近年著しく減少しています。
日本では神経管閉鎖障害の発症率が低かったために、葉酸と神経管閉鎖障害の関係に関する研究が遅れていましたが、近年日本でも神経管閉鎖障害の患者が増加したことを受けて厚生労働省は妊娠可能な年齢の女性に対する葉酸摂取を推奨する勧告を出すことになりました。
平成１１年に報告された神経管閉鎖障害の発症率が低い中国南部における研究においても、葉酸の摂取が神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させるとの調査結果が示されたこと、平成１１年度の厚生科学研究において、我が国の二分脊椎の発症率が増加傾向にあることが報告されたこと、さらに今後、食生活の多様化により、食物摂取の個人格差が大きくなり、葉酸摂取が不十分な者が増加する懸念もあること等から、我が国の現状を踏まえた葉酸の摂取による神経管閉鎖障害の発症リスクの可能性について検討する必要性が生じてきた。
もちろん神経管閉鎖障害は葉酸不足のみによって生じるわけではありません。
多数の要因が複合的に絡み合って発症しますので、葉酸をとっていれば大丈夫と思い込むのは禁物です。
神経管閉鎖障害の発症は遺伝要因などを含めた多因子による複合的なものであり、その発症は葉酸摂取のみにより予防できるものではなく、一定量の葉酸の摂取により集団としての発症のリスクの低減が期待できるという性格のものであることを説明する必要があること。
特に、既に神経管閉鎖障害の児の出産既往歴のある母親については、過度の不安を招かないよう、その発症に葉酸の摂取が寄与した可能性は必ずしも高くないことなどについて説明することが必要
神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための葉酸の摂取 同上
あくまで神経管閉鎖障害の一因になっている可能性が高いということですね。
特に神経管閉鎖障害の赤ちゃんを出産した経験がある方は葉酸をとってもそれほどリスクは低くならないようです。やはり遺伝的な要因が高いということでしょうか。
授乳期に必要な理由
葉酸の摂取は妊娠中ばかりではなく出産後にも必要になります。
葉酸は赤血球のもとになる骨髄中の赤芽球の生成に補酵素として関わっています。
血液をスムーズに作るには葉酸の媒介が必要なわけです。
そのため授乳期に起こりやすい貧血を予防する効果があります。
また母乳は血液から作られているため、葉酸が血液の生成に関与する結果、母乳の生成にも関与します。出産後の出産後の母乳の出をよくする効果があります。
摂取量と副作用
成人男女とも葉酸の摂取量は240μｇです。妊娠時には400μｇ必要です。また授乳期には340μｇ必要になります。
葉酸の過剰摂取における副作用は報告されていませんので過剰摂取における副作用は気にしなくていいようです。
いつから摂取する必要があるか？
葉酸は男女問わず必要な栄養素で、かつ過剰摂取による副作用もありませんので常に摂取する必要があります。
ただ妊娠中は通常よりも多めに摂取する必要がでてきます。それでは妊活の観点から、葉酸はいつごろから摂取する必要があるのでしょうか？
妊娠中における葉酸の必要性の一つに胎児の神経管閉鎖障害の予防があります。胎児の神経系の異常は妊娠7週～10週以前に発生すると考えられますので、それ以前の摂取が必要です。
つまり妊娠に気づいてから摂取するのではなく、妊活をしている最中にあらかじめ摂取することが重要です。
先天異常の多くは妊娠直後から妊娠１０週以前に発生しており、特に中枢神経系は妊娠７週未満に発生することが知られている。このため、多くの妊婦が妊娠して又は妊娠の疑いを持って産婦人科の外来に訪れてからの対応では遅いと考えられることから、多くの研究報告と諸外国の対応では、葉酸の摂取時期を少なくとも妊娠の１か月以上前から妊娠３か月までとしている。一方、妊娠が判明してからの摂取でも効果がみられたとする報告もある。
神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための葉酸の摂取 同上
もちろん、妊娠が分かってからでも摂取は遅くありませんが、子作りを考えてる方は早めの摂取が推奨されます。
サプリメントでとる必要性
葉酸はほうれん草等、植物の緑の葉に多く含まれます。しかし妊娠期には食品からの摂取では不十分です。
葉酸にはモノグルタミン酸とポリグルタミン酸の2種類があります。食品中に含まれる葉酸の多くはポリグルタミン酸になりますが、体内に吸収される際にはモノグルタミン酸に代謝されなければいけません。
葉酸はポリグルタミン酸からモノグルタミン酸に100％代謝されるわけではなく、さまざまな影響を受けるためポリグルタミン酸からモノグルタミン酸に代謝され吸収される過程で半分以上が無駄になってしまいます。だからこそ、最初からモノグルタミン酸として作られているサプリメントでの摂取が重要になるわけです。
また葉酸は水溶性ビタミンなため、食品中の葉酸は、料理によって破壊される可能性が高いということも挙げられます。
葉酸は野菜や柑橘類・レバーなどに多く含まれており、小腸でモノグルタミン酸として吸収されます。しかしながらこれら食品中の葉酸(dietary folate)の大部分はポリグルタミン酸型として存在し、モノグルタミン酸として消化吸収されるまでの代謝過程で様々な影響を受けるため、生体利用率は50％以下と推定されています。
また水溶性ビタミンであるため調理損失も受けやすくなっています。
これに対していわゆるサプリメントなどの栄養補助食品や葉酸添加食品に使用される葉酸（folic acid：プテロイルモノグルタミン酸）は通常の食品中の葉酸とは構造が異なっており、安定性及び生体利用率が高いことがわかっています。葉酸と神経管閉鎖障害のリスク低減との関連を示した諸外国の大規模な疫学研究の結果は、この葉酸(folic acid)のサプリメントによるものがほとんどです。
e-ヘルスネット 同上
お勧めサプリメント
ではどのサプリメントがいいの？という質問に答えて、おすすめサプリメントを紹介します。
上記記載した通り、サプリメントとして重要なのは、一回400μｇ摂取できること、そして胎児への影響を考えなるべく添加物の少ないサプリを使うべきです。
それらの観点から人気葉酸サプリを２点紹介します！
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